園長のひと言 (2011年6月)
 

北海道も真夏の太陽が照りつける季節になり、水遊びが出来る子ども達は喜んでいます。

どんな社会になっても、子どもが生きにくい環境でも、子どもが生まれ、育ち、成長する社会を作るのは大人の責任として、考えていきたい。

目の前にいる子どもはいつまでも、いつまでも子どもではない。
一日一日確実に成長する子ど達は、次の世代にバトンを渡す子ども達。
不安定なバトンではなく、幸せなバトンを渡したいし、そのバトンをどう使うかは、知恵次第。
知恵のある大人になるように、がんばりましょう。 




ママ、ママ、ねえママ
        芝木儀仁

--- 北海道私立幼稚園連合会会報「カマラード第51号」掲載文章より----

「ママー、ママー」
「きて、ママー」 「ママ―、ママ―」

「きてってばーママ―、ママー」
はるちゃんは、いつも大きな声でママを呼びます。

髪を結ぶゴムがない時も、靴下が半分脱げている時も、
テレビを見ていて面白い時も、
猫のミミが膝に上がった時も、
いつもいつもママを呼びます。
こんなこともあります。

「ママー、背中がかゆいの、かいて」

「ママ―、ミミがニャーニャーうるさいの」

「ママー、机の上のおもちゃ片付けて」

ママは、はるちゃんに言いました。
「はるちゃん、自分でできる事は自分でしようよ」
「ママは、はるちゃんだけのママじゃないの。」
そんなママの言葉は全然聞いていません。

おもちゃ箱全部ひっくり返し、
広げて遊んで片付けないまま絵本を何冊も出して、
見終わったらそのままテレビを見て、飽きたら
「ママーのどかわいた」と大きな声でママを呼んで、
ママがすぐに来なかったら、そばに行っておこっています。

「私が一生懸命ママを呼んでいるのに、どうして来てくれないの。」


そんなある日はるちゃんは、いつものようにママーと呼んでみたけれど、
なんだかいつもと違うみたいです。

なんだか家の中が静かです。

いつもより小さな声で「ママー、ママ―」と呼んでみます。

ママはソファーで横になっていました。

「ママ、どうしてねているの、おきて、ねえおきて、のどかわいたの」
ママは小さな声で言いました。

「ママ今、動けない。はるちゃんのお話聞いてあげられないの」

「どうして?眠いから?」「どこか痛いの?おなか?あたま?」

「はるちゃん、よく聞いて。ママのお腹に赤ちゃんが来てくれたの。
今までみたいにはるちゃんの事だけ聞いてあげられなくなったみたい。
はるちゃんは幼稚園で先生のお話を聞いて、
お友だちと仲良くままごとをして、
遊んだ後の片付けもきれいにするって、
先生がとてもいい子ですよって言っていたわよ。
幼稚園ではおねえさんで、小さい子の面倒も良くみているんだって。
ママとても嬉しかったよ。」

「そんな事いつもやっているよ。じゃ、こんどからママを助けるね。
ママ、パパが帰ってくるまで、寝てていいよ。」






 

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